蜂須賀敬明のしゅみラークル

趣味にまつわるあれこれを、おつたえします。

銀河英雄伝説の話

大人になると、なかなか好きなものは増えません。

 

脳みそが固まってしまうせいで、

自由な感性がどうしても狭まってしまうのは、

もう人間の性質上仕方のないことだと半ば諦めていますが、

だからこそ大人になってから、大好きだと言える作品で会える喜びは、

長生きする1つの利点とも言えるでしょう。

銀河英雄伝説は、僕にとってそう思える大切な作品です。

 

一時期、長編アニメにはまった時期があり、

ガンダムはもちろんのこと、4クールものの作品をじっと見ていたことがあったのですが、

長編アニメなら、やはり銀英伝を外すことはできないだろうと思い、

いざ気合いを入れて見始めたら、結局原作まで完全読破してしまうくらい、

とてつもない勢いであの世界へ引き込まれていくことになりました。

 

銀英伝の素晴らしい点を上げればきりがないのですが、

やはり何といっても人間味あふれるキャラクターの数々でしょう。

自由惑星同盟と帝国という対立する構造でありながら、

両者とも血の通った人間がドラマを彩り、

どちらの主義にも必ずジレンマが存在し、

立場が違うにもかかわらず、似たような問題に陥っていく様子に、

ものすごいリアリティを感じるわけです。

 

特に好きなキャラクターを言わせていただくと、

自由惑星同盟側では、やはりヤン・ウェンリーを外すことはできません。

彼の飄々としながらも、自分の意思はしっかり貫き、

勇気と蛮勇をはき違えない姿勢、消極的かつ合理的な戦略思想、

適材適所な人事の才、面倒見の良さ、責を負いきる姿勢など、

魅力を上げたらページがいくらあっても足りないほどです。

彼を師と慕うユリアンと同様に、

僕もヤン提督からはとても多くのことを学ばせてもらいました。

 

一方帝国側ですが、ロイエンタールやミュラー、と言いたいところですが、

オーベルシュタインこそ、僕が最も愛するキャラクターです。

彼は理想主義に走りがちなキルヒアイスやラインハルトの性質を見抜き、

極めて合理的で、時に残虐な判断を一切の躊躇なく行います。

オーベルシュタインの行動は、現実的な倫理に反することもあるわけですが、

彼が帝国の真実を映す鏡のような役割で、

ラインハルトと向き合い続けたからこそ、

帝国は栄華を極めたのではないかと考えています。

 

ヤン・ウェンリーはある意味で、人の徳に沿った行動を取りますが、

オーベルシュタインの場合は、常に人に潜む残虐さや現実、やむを得ない判断など、

決して無視はできない事柄を常に提案し、

ラインハルトをはじめ、多くの帝国の人間は頭を悩ませていくわけです。

 

オーベルシュタインは常にヒールを演じ続けるわけですが、

そういう役割がいてくれるからこそ物語は現実味を帯び、栄えてくるんですよね。

光の当たらない役ではあるのですが、

銀河の英雄を英雄たらしめたのは実のところ、

オーベルシュタインの存在があってこそなのでは、

という考えは決してうがっているわけでもない気がします。

 

様々な個性を持つキャラクターの壮大な群像劇を書くのは、

物語を書く仕事に就いた身として、

チャレンジしたいことの1つです。