蜂須賀敬明のしゅみラークル

趣味にまつわるあれこれを、おつたえします。

アスキーアートの話

2ちゃんねるというと、少なくない方が物騒なイメージを持たれ、

僕もインターネットをはじめた2000年に、

2ちゃんねるで犯罪予告をしたバスジャック、通称ネオ麦茶事件が起こり、

その時リアルタイムで掲示板のやりとりを見ていて、

ぞっとしたのを覚えています。

 

ネガティブな側面ばかり取り上げられがちな2ちゃんねるですが、

ユーモアのある文化も数多く生み出してきました。

今でいうブログのはしりとも言えるテキストサイトは、

様々なネットスラングが用いられて読み応えがありましたし、

テレビ番組やスポーツをリアルタイムで実況する文化も、

2ちゃんねるに多くの祭り(いいものも、悪いものも)を生み出しました。

 

その中で、僕が特に好きだったのがアスキーアート(AA)です。

当時はモナーやギコ猫といった、5行ほどの文字列で表現される絵が主流で、

後にAAの表現力も上がり、アニメやゲームのキャラをAA化したり、

今でも人気がありますが、やる夫という2ちゃんねるの1人称的人格を

生み出して、様々な物語が紡がれていきました。

 

昨今はスマホの隆盛に伴って、パソコンでネットを使うユーザーが減り、

多くの行数を必要とするAAはネットスラングの第一線から、

後退しつつある状況ではありますが、

ネットを使っていたら、1度はAAを見たことがあるのではないでしょうか。

 

そんなAA職人が集う2ちゃんねるのAA長編板は、

小説や漫画とはまた異なった物語体験を与えてくれました。

AA長編板はその名の通り、AAを使った長編のスレを立てて、

様々なタイトルに応じた物語が描かれていくのですが、

当時人気があったのは、ショートショートをAA長編化したものでした。

いきなり長編を描くのは難しいので、

名作ショートショートに目をつけた職人が多かったわけですね。

 

そのおかげで、僕は星新一や小松左京、筒井康隆といった、

ユーモア溢れる物語作りの達人を知ることができ、

彼らが描いた物語を、AAで再表現する楽しさにも気づかされました。

 

人が多く集まる場所には、様々なトラブルも起こり、

ネガティブなことが発生するとそれにばかり目が向いてしまいます。

ですが、一方でその中にはユーモアのある人も紛れ込んでおり、

嫌なものは見たくないとすべてをシャットアウトしてしまうと、

楽しいものを見逃してしまうことがあるのも、また事実です。

 

インターネットのリテラシーはとても難しく、

今でもこれが正しいと、紋切り型に説明できるものはないのですが、

ネガティブな情報をうまくすり抜けながら、

自分の人生を豊かにしてくれる情報を身につける力を養うことが、

今のインターネット社会を生きる上で、大事なことかもしれません。

 

せっかく様々な人と繋がれるツールなわけですから、

互いを尊重しあって、楽しいものを共有していきたいですよね。